ざっくり音楽史3
ざっくり音楽史3 さて最終回です。なぜこういうことを書いているのかという真意は最後に書きますのでもう少しおつきあいください。
さて、今度はその他の発明品などについてちょっとだけ追ってみましょう。
まず最古の録音物というのが1860年、「フォノトグラフ」という機械による録音です。たった155年前の出来事です。
ちなみにこのフォノトグラフ、当時の技術では録音できても再生できる技術が無かったのです。で、再生されたのがいつか、というと2008年!!なんとこないだの話です。
YouTubeなどで聞けますので気になる方は聞いてみてください。ほぼノイズです。 ちなみに1860年というとリンカーンが大統領になった年で、日本では桜田門外の変があった年です。
さて、次になると皆さんもご存知のトーマス・エジソンがレコードへ最初の録音をします。メリーさんの羊を歌っている録音ですね。これが1877年。138年前。いわゆる手回し蓄音機ってやつです。今のレコードを想像しちゃうと形がだいぶ違いますので注意ですね。
ちなみにこの時日本では西南戦争があったり東京大学ができたり。世界を見るとウィンブルドン選手権の第一回がこの年です。
次にレコードに協奏曲が初めて録音されたのが1909年。106年前です。 この年にまたもやエジソンがアルカリ蓄電池を発明します。エジソン無くして音楽史も発展無しですね。。。。。
そして今度は最古のジャズが1917年。もう第一次大戦です。
最初のブルースが1920年。
最初のエレキギターが1932年のリッケンバッカー社の作品。 量産されるのは1940年のギブソンからですね。これがたった75年前のお話。
そして世界初のCDは1982年に発売されたビリージョエルのCDです。33年前。
少し話は逸れますがPAについても。 PAは今となっては音楽、ライブにはなくてはならないものになりました。このPAってのは 「Public Address」の略です。日本語に訳すとpublicは公共の、そしてaddressには演説、という意味があります。つまり元々は選挙のためなどの演説用のものだったんですね。
そしてこのPAシステムをガンガン発達させたのがアドルフ・ヒトラーなんですね。 以前の記事に音楽と宗教は密接なつながりがある、と書きましたが、文明の発達には戦争が密接に絡んでいます。なのでPAが発達しだすのが1940年頃ということですね。
さてさて、ここまで見ていくとなんとなく今の音楽が進化の途中では無いか、という気がしてきませんか? クラシックの世界が膨大な時間をかけて育ってきたのに対してジャズの歴史でさえ100年くらいのものです。勿論昔に比べて伝達、共有などの様々な技術が発達していますので進化のスピードは比べることができません。
音楽が進化してくる過程では「無かったもの」が突然生まれてきます。ハーモニーもそうですね。それはもしかするとその時代には「間違ったもの」として認識されていたものかもしれません。
歪んだギターの音はアンプの性能が追いつかなかったものが「かっこいい」と認識されて広まったのかもしれません。
スラップ奏法なんてものは異端中の異端だったかもしれません。
エレクトリックピアノの初期はオモチャとしての発売だったかもしれません。
でも今となっては「普通」のことです。
では今「異端のもの」「間違いだと言われるもの」はどうでしょう。 今不協和音だと言われるものが数年後スタンダードになっている可能性は十分にありますよね。
音楽に限らず、様々なものの進化は「間違い」からくることも多くあるんだそうです。
長々と音楽史ということで書きましたがオチはこれです。
狭い価値観は自分や周りの可能性を潰しかね無い、というお話でした。
※ただし、楽器の弾き方などのある程度「スタンダード」だと思われるものは練習しなければダメですよ。じゃないとその先に進めませんからね。そういうものは語学を学ぶ時の単語、のようなものです。基本がないと応用も確実にできませんもんね。