音楽力を身につける

音楽力を身につける

これは楽器を演奏する人だけでなくカラオケが上手になりたい人や、沢山の種類の楽器を演奏したい人にも有効なものです。少し長くなりそうですが大事な部分なのでじっくり書いていこうと思います。

まず「音楽力」とはなにか、という所ですね。これはとりあえず「音楽のための基礎体力」だと思ってください。勝手に付けているだけなのできちんとした定義があるのかもしれませんが

ここでは割愛します。

よく音楽の授業で最初に出てくる音楽の三要素、という話がありますよね。「リズム」「メロディ」「ハーモニー」の3つです。

特にリズムというのは殆どの人が得意とするものです。いや、もう少し踏み込むと「リズムを感じる力」は殆どの人に備わっています

これは佐久間正英さんの本にも面白い話が載っていたのでざっくりですが書いてみます。

佐久間さんによれば、人間は狩りをする時に物音がした位置を聞き取れなければならなかった。そして狩りをしなくなった現代人でも「どこで物音がしたか」

が分かる能力がある。これは微妙な音量の違いや一瞬左右でズレて聞こえる音を聞き取っているからだ、というのですね。

佐久間さんの本はとても面白い考察が沢山載っていますので是非一読してみてください。

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初心者の人に楽器を教えていても「手拍子を一緒にしてみよう」というと見当違いの場所で叩いてしまう人はそう多くはありません。

小学校などでそういうトレーニングをしている事もあるでしょうが、幼稚園児でも音楽を聴きながらピョンピョン飛び跳ねたりしています。

これも知らず知らずにリズムを感じているからでしょうね。子供に爆発的にヒットする曲もリズムが心地いいものが多いことからも推測できますね。

次に、「あ、この人は楽器が(歌が)下手だなあ」と感じる時の事を思いだしてみましょう。

ピアノの発表会に行ったとします。みんな一生懸命に楽譜を見て「正しい音階」を演奏しています。でも「下手だなあ」となるのはやはりリズムが問題になっています。

YouTubeに「演奏してみた」というジャンルで沢山の演奏者が演奏をアップしています。皆さん良く練習して「正しい音階」を弾いていますがリズムが悪い演奏はとても下手に聞こえます。

カラオケに行ってもそうですね。音階はまあまあ合っている。のに全然上手には聞こえない。「あれ?これは声質だろうか、発声が悪いのだろうか、ビブラートが出来ないからだろうか・・・・・」などと沢山の事を思いますが「リズムが悪いのだなあ」と感じられる人はそう多くはありません。しかしこれも多くの場合リズム感が問題になっています。

少し楽器が出来る人は一度試して欲しい事があります。例えばCメジャースケールで弾けるコード進行を何かに録音してみてください。

進行の例としては「C-G-Am-F」みたいなものでかまいません。

ここに簡単なソロを乗せてみてください。ただし1回目は「正しい音階(つまりCDEFGABCの音のみ使用)を使用しリズムは完全に無視」

(ここで便宜上正しい音階と言っていますがこれ以外の音が実際にソロで使えない音ではありません)で弾いてください。難しければCとGの音だけを適当に弾いても良いでしょう。

2回目は「先ほどの音以外の音のみを使用しリズムにはシビアに」弾いてみてください。これも2音くらいをチョイスしリズミカルに弾いてみると良いでしょう。

2つを録音してみるとよくわかるのですが「どちらがマシか」となると圧倒的に後者になると思います。

これは近いうちに実演の動画をアップしますね。

上記のような様々な事柄からわかるように「リズム」はとても大事なものです。「音階よりも大事だ」というつもりはありません。

ただし「音階と同じくらい大事」なのに多くの人が音階に執着してしまうのですね。これが勿体ない部分です。

さて、リズムが大事な事を説明した上で次のお話へ。

では楽器の初学者がリズムトレーニングをする時にどうするのか?というと多くの人が「自分の練習したい楽器を持って」練習するのですね。

これはどういうことかというと「慣れない楽器でリズムのトレーニングと楽器のトレーニングを同時にしようとしている」ことになります。効率は良くありませんし、結局変な癖がついたりもします。

変な癖がついた場合どうなるか、というと「特定の楽器は弾けるようになる。しかし別の楽器には対応出来ず、また楽器が無い状態での根本的なリズム感はズレたままになる」んですね。全員が全員とは言いません。

一番大事な事は「良いリズム感を身体の中に取り込んでしまう」ことです。

ここで少し話をズラします。

運動神経の良い人は総じて楽器の習得も早いものです。(運動神経が悪いから楽器が上達しない、ということではありません)

運動神経の良い人、というのはどういう事かというと「単純に身体能力が高い」や「頭で考えた動きを身体に伝える事ができる」という事です。勿論反復練習で特定のスポーツが上手になった人も居るでしょうが「特定のスポーツだけ上手」という事と「運動神経が良い」は別物として考えてみてください。

この「頭で考えている事の再現」をするために楽器の練習をするのですが、音楽の場合「頭(もしくは身体の中で)でリズムを取る」わけです。

むしろ全身で、です。スポーツでは正確な動きなどが要求されますが音楽ではさらにそこに「良いリズム感で」というものが追加です。

そのため根本としてのリズムを鍛えてしまいたいわけです。

運動神経の良い人は総じてリズムを持っています。歩いている姿だけを見ても「あの人は運動音痴だろうな」「あの人はスポーツができそうだな」というのがなんとなく分かりますよね?

これは歩き姿にもリズムが出ているからです。こういう基礎的な事が少しでも習得できているために運動神経の良い人は楽器の習得が早い、という現象が起こるのです。

続きは次の投稿へ。