音楽力を身につける2

音楽力を身につける2

前回にいかにリズムが大事なのか、なぜ正しい音階なのに下手に聞こえるのか、などを説明していきました。今回は簡単なリズムトレーニングの話です。全楽器共通なのでぜひ挑戦してみてください。

ではどうやってリズムトレーニングをするか、に移っていきます。

これだけ前置きしておいてそんな事か!というご意見も沢山あるでしょうが、「手拍子」です。

もしくは膝の上を叩いても良いでしょう。踵でリズムを取る事も良いです。ボーカリストはここから発声までをします。(ボーカルについては最後に書いています)

手拍子なら多くの人が「普通の動作」として行う事ができます。「慣れた動き」です。トレーニングの際に慣れない動きで行うことは根本的なリズムのトレーニングに直結はしません。

動き方にも気を使いながらトレーニングになってしまうからです。

最初は「アタマの中で」する事も良いでしょう。

余談ですが多くの人は頭の中では高い再現率で音楽が鳴っています。何かの音楽を思い出してみてください。ほぼほぼ聞いた事がある形でメロディなどが出てきていませんか?

ただしここから「声に出す(楽器で再現する)」時にはそれ相応のトレーニングが無い限り上手くはできません。再現率が高いとは言ってもやはりリズム感に関してはトレーニングが必要です。

まずメトロノームを用意し160のテンポで鳴らしてみましょう。クリック音と同時に全ての音で手拍子をしてみます。出来そうな方は膝を両手で交互に叩いていきましょう。

ちなみに膝を叩く動作も少し慣れが必要な動作だと思います。これくらいは多くの楽器でも必要になってくる動作なのでこの機会に少し練習すると良いでしょう。利き腕と同じくらいリラックスして叩く事ができれば

とりあえずはOKです。ここで注意したい所は

・声に出しても出さなくても良いが必ず1、2、3、4とカウントをしていく

・踵でリズムをとる(慣れている足で結構ですし、どうしても難しいようでしたら勿論最初はカットしてください)

の2点です。わざわざ踵で、と書いているのにも理由があります。楽器を演奏する際、なるだけ身体のどこかのパーツでリズムをキープする事が必要だからです。

つま先ではダメなのか?となりますが、つま先はオススメしません。つま先は簡単にぶれてしまう上に体幹にもリズムが来ません。踵で取ると立っている時には腰でリズムが取れるようになります。全身でビートを取れていれば後々の演奏に役立ってきます。

簡単そうですが録音して聞いてみてくださいね。意外とズレていたり思っているように叩けてなかったりします。ここでは「ちょっとくらいずれてても良いや」という感覚は無しです。

さて次にメトロノームは半分の80のテンポにします。手拍子は前回通り。つまり1と3の時はクリックと一緒に手を叩くことになります。今までは全て同じ位置だったので簡単でしたが少し難しくなります。

これが終われば40のテンポにします。次は1の時だけクリックが鳴りあとは自分のリズム感で刻んでいきます。結構難しいですよね。

ここまでを録音して聞いてみてください。実際にやりながらと録音したものとでは聞こえ方も変わってきます。正確にできるトレーニングをしましょう。

ここまで出来たら160に戻してみてください。

次は「1」にアクセント(強めに叩いてください)で2、3、4は普通に。

出来たら「2」にアクセントで・・・・・・

というふうに4までしてみます。

テンポも160が出来たら80、40とやってみます。

さらに!

今度はアクセントで叩いた部分だけを叩くトレーニングです。つまり「1」を叩いて2、3、4は休み。

のような感じでやります。

最終的にはアクセントが1から4までズレていくようにトレーニングします。

つまり「1」234 1「2」34 12「3」4 123「4」というふうに叩くわけですね。 これも4つ全て叩く場合とアクセントのみを叩く場合とやってみます。

どうですか?言葉で説明するとちょっとわかりにくいかもしれませんがじっくり読んでみてください。また、この練習は電車の中ででもクリックさえ聞ける環境であれば出来ます。心の中でカウントをしてみることです。

そして最後にボーカルの方がこのトレーニングを行う時には発声付きでやることをおすすめします。手拍子を抜いても構いません。ただし踵でリズムを取りながら、です。 発声は1、2、3、4と数えなくてもいいです。例えば「ラ・ラ・ラ・ラ」でもいいでしょう。ついでに「A」の音で、などと決めてやってみましょう。

発声って慣れていないとリズムに乗って声を出すことさえ最初はままならないものです。「いや、自分は出来てるで!」という人はぜひ録音してシビアに聞いてみてください。多くの人がリズムより遅れて発声しています。ほんのちょっとのズレが歌を歌う時に大きな障害になっているのです。

とーっても簡単そうなことを書いていますがこういう「基礎的なリズム感」を楽器なしで身につけていくことが音楽力のレベルアップにつながります。

ぜひトライしてみてください。

ちなみにリズムだけではなく音感に関しても鍵盤を使ったトレーニングで習得のスピードが速くなります。これはまたの機会に。