ヴォーカルのトレーニング

ヴォーカルのトレーニング 今回はヴォーカルのトレーニングについてです。我流の人もかなり多いと思います。それが悪いということでは決してありません。しかし理論を知っていると上達はより早くなります。

ヴォーカルのトレーニングというとどんなものが思い浮かびますか?やはり最初にみなさんが考えるのは「発声練習」ではないでしょうか。「天使にラブソングを」という映画のシーンを思い出す日人も多いかもしれませんね。

例えば、ドミソの和音を弾いてから、その音階に合わせてスケールを歌う、というようなものでしょうか。これに限らずみなさん独自のやり方、スケールを選んでいると思いますが、何を意識して練習するのか、が明確であればあるほど伸びていきます

ボーカルトレーニングのCD音源やピアノを使ってトレーニングをすることは絶対です。 これをしなければ正確な音程感が身につきませんからね。適当な音でやってはいけません。

そう、まず一つ目の意識は「音程」です

みなさんが声を録音した時に

「あれ?こんな声してたっけ??」

って思いますよね。

これって自分の声は身体や骨で響いた音を聞いているわけで、決して声帯から出た音をダイレクトに聞けているわけではありません。でも他人が聞くのは自分が思っているものとは違う声です。

そして人間の身体の様々なパーツを通している分、ピッチ感も違って聞こえます。(慣れると大丈夫です)

そして、「なんとなく合っている」という錯覚に陥るのです。これが一番まずいんですね。 錯覚に陥らないためにはどうするか?

録音する

ですね。シビアに自分の基礎練習を分析しましょう。 あとは音程を「しゃくりあげて」当てる、というのも間違いです。要はちょっと低いピッチから歌い出して正しい音に当てる、というやり方です。多くの人がこういった音程の当て方をしています。声を出した瞬間に正しいピッチに当たっている、状態を目指すためのトレーニングをしましょう。

次に意識すべきは「リズム」です

発声の時にリズム意識してる人はそう多くはありません。しかし歌が上手い下手を聞き分ける時に「リズム」はとても重要な要素です。

いくら音程が合っていてもリズムが悪いと下手にしか聞こえません。 (ちゃんと理由がありますが、音程が悪くてリズムが良い歌はそこまで下手には聞こえません)

基礎練習の特にメトロノームをつけることは大事なんですね。

そして声というのは「声を出すぞ」と脳が指令を出してから「息を吸い」、「吐いて声帯を振動させ」初めて声が出る、というプロセスを経ています。つまりリズム通りに音を人に聞かせるためには、この予備動作を先にやる必要があるわけです。自分が思っているよりも遅く発声している人って結構多いんですよ。

そして今の上のものに関連していますが

息を吸う練習をする

ことも基礎練習の一環です。これは本当に忘れている人が多いです。日常生活で意識せずに息を吸っていますからね、なんとなくできている気になるのでしょうが、どちらかというと水泳なんかに近いものです。

実際の歌を歌うときには、ブレス(息継ぎのタイミングのこと)は一瞬で済ますことって多いですよね。その一瞬でいかに多くの空気をいかに速く吸えるか、は超重要です。 息がきっちり入っていなければ声量も出ませんし、長いパッセージは歌えません。

みなさん「声を出す」というアウトプットに集中しすぎて「息を吸う」というインプットの作業をつい忘れちゃうんですよね。発声の練習とブレスの練習は半々でもいいくらいに重要です。

次は「身体を響かせる」ことも重要ですね。

ボーカルという楽器はプロがどのように鳴らしているか、を目で見て学ぶことができない楽器です。なので非常に難しいものでもあるのですが、プロは鳴らす場所を選んでいます。

地声なら体全体が震えるように、高音なら頭のてっぺんと胸を中心に、低い声ならあえて口周りを振動させるイメージで低音がぼやけないように、などと色々なやり方があります。

いわゆるミドルボイス、と言われる発声も振動を重要なものとして捉えます。 このあたりの詳しい説明は別の機会に回しますが、教則本などで確認してみてください。

ここで言いたいことは「ピッチが当たればたとえいい声じゃなくても良い」「高い音が出るボーカリストこそがすごい」というようなピッチ一辺倒な考え方ではなく「声の音質」にもこだわって練習すべきだ、ということですね。

声質は元々持っているものですが、そもそも声質が全く歌に向いていない、人なんてそうそういません。トレーニング次第で「声の音質」は育てられるんですね。

次です。

「フォームに気をつける」

もうこれは本当に大事。身体が楽器だからこそ、鳴りやすい姿勢を作らなければなりません。これも細かいことは教則本に任せますが、猫背で下向いて歌っているようでは決して身体は鳴りませんし音が飛びません。

最後に「伝えるつもりで」やる。

ちょっとわかりにくいですが「前に飛ばす」という方がわかりやすいですかね。

声って「前に飛ばす」ことも「自分の周りで鳴らす」ことも可能な楽器です。まあ、自分がスピーカーみたいなものですからね。この辺は説明しだすと非常に長くなるので割愛しますが、「基礎練習でも誰かに伝えてやろう!」くらいの気持ちを常に持っておくだけでも練習の質が変わります。

さて、けっこう長くなりましたが、いかがでしょうか。意識する部分を変えるだけで伸び率は本当に変わります。

あ、ちなみにボーカリストにオススメの本を最後に紹介しておきます。 この本はミドルボイスについて多く、素晴らしいことが書かれていますが、何よりも付属のCDの基礎練習が本当に良いんですね。15分くらいのものなんですが、先生と一緒に練習する感じのものです。このCDのためだけに買っても決して損はしません。別に出版社の回し者ではありません笑

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